健診結果の見方

指導区分について

指導区分

1
この検査の範囲では、異常はありません。
2
わずかに、基準範囲をはずれていますが、日常生活に差し支えありません。
3
日常生活に注意を要し、経過の観察を必要とします。
4
治療を要します。
5
精密検査を必要とします。
6
治療中。

検査項目ごとの解説

診察等

腹囲 腹囲はおへその周囲を測ります。男性は85㎝、女性は90㎝以上あると内臓脂肪が蓄積している可能性があります。内臓脂肪が過剰に溜まると、悪玉ホルモンが分泌され、血圧を上昇させたり、動脈硬化を進行させたりします。
BMI 体重と身長から求められる体格の指標です。 BMI=体重(㎏)÷ 身長(m)÷ 身長(m) BMI 22 が統計学上、最も病気になりにくいと言われています。 25を超えると肥満です。 ※BMI 22 は標準体重の値になります。
体脂肪率 体重に対して脂肪がどれだけあるかを%で示したものです。
聴力 1,000Hz(ヘルツ)は、人の話し声を代表する音の高さ、4,000Hzは高音の代表として検査をしています。40歳を超えると加齢変化による聴力低下が出現しはじめます。聴力の低下は高音域から始まり、年齢が進むと徐々に中音域、低音域に広がっていきます。高齢者では特に疾病がなくても「所見あり」と判断されることがあります。

血圧測定

  • 収縮期血圧
  • 拡張期血圧
至適血圧 正常血圧 正常高値 I 度 高血圧 II 度 高血圧 III 度 高血圧
収縮期血圧 ~119 120~129 130~139 140~159 160~179 180~
拡張期血圧 ~79 80~84 85~89 90~99 100~109 110~
※至適血圧とは脳卒中や心臓病になりにくい血圧のことです。

脂質

中性脂肪 主に体のエネルギー源となる脂肪の一種です。食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足等で上昇し、動脈硬化を進行させる原因にもなります。
HDLコレステロール 善玉コレステロールとも呼ばれ、血液中の余分なコレステロールを肝臓へ戻す働きがあります。基準値より低いと、動脈硬化を進行させる原因になります。
LDLコレステロール 悪玉コレステロールとも呼ばれ、全身にコレステロールを運ぶ働きがあります。基準値より高いと、動脈硬化を進行させる原因になります。
総コレステロール 細胞やホルモンを作るためには欠かせないものですが、増え過ぎると動脈の血管内に付着して動脈硬化を進行させ、高血圧、脳卒中、心筋梗塞等を引き起こす原因になります。
non-HDLコレステロール 悪玉系のコレステロールで高値になると心筋梗塞や狭心症になりやすいことがわかっています。
β-リポ蛋白 脂質(中性脂肪やコレステロール等)と結びついて肝臓から各臓器へと運ばれます。

肝臓・胆のう・膵臓

GOT(AST) 肝臓、心臓、骨格筋、腎臓等、多くの臓器の細胞に含まれる酵素です。これらの臓器に異常がおこると値が上昇します。
GPT(ALT) GOT同様、GPTも酵素の一つです。主に肝臓の障害に敏感に反応するので、肝炎や脂肪肝等の時に上昇します。
γ-GTP(γ‐GT) 肝臓等の臓器に含まれる酵素の一つです。特にアルコールによる肝障害に敏感に反応します。
ALP 肝臓や胆管、骨等に含まれ、これらの障害により値が上昇します。
LDH 糖代謝にかかわる酵素で、肝臓や心臓に障害があると値が上昇します。
総蛋白 アルブミン 低栄養状態や肝臓等に障害があると値が低下します。
A/G比 アルブミンとグロブリンの比を算出したものです。栄養状態や肝臓の障害等で、低下します。
総ビリルビン
直接ビリルビン
間接ビリルビン
ビリルビンとはヘモグロビンが壊れてできたものです。間接ビリルビンと直接ビリルビンがあり、二つを合わせたものを総ビリルビンといいます。黄疸や胆道系の疾患があると値が上昇します。
TTT
ZTT
肝機能障害があると値が上昇します。
LAP 肝臓や胆道等に障害があると値が上昇します。
コリンエステラーゼ 肝臓で合成される酵素で、肝炎や肝硬変等で値が低下し、脂肪肝や糖尿病等では値が上昇します。
血清アミラーゼ 膵臓や唾液腺から分泌される消化酵素で、これらに炎症や障害が起こると値が上昇します。
尿ウロビリノーゲン ウロビリノーゲン(ビリルビンの代謝産物)が尿中に排泄されたものです。肝機能障害や黄疸があると尿中排泄量が増加します。

代謝

尿糖 血液中に含まれるブドウ糖が尿中に排泄されたものです。尿糖が出ると糖尿病が疑われます。再検査等で病気の有無を調べる必要があります。
空腹時血糖 血液中に含まれるブドウ糖のことです。血糖値は食事等で変動します。血糖値が高くなると、糖尿病が疑われます。
HbA1c
(NGSP)
上記血糖値は、検査したその時点での血糖の状態を示しますが、この検査は過去1~2か月の血糖の状態を知ることができます。よって糖尿病診断の指標になります。
尿酸 尿酸は体の老廃物です。高値になると結晶化する傾向があり、急性の関節炎を起こし、痛風発作が生じます。さらに進行すると腎障害となります。

血液一般

赤血球
血色素(ヘモグロビン)
赤血球の赤い色素はヘモグロビンと呼ばれるもので、肺で酸素と結合して血液の流れにのり全身の組織に酸素を運びます。赤血球や血色素が少ないと貧血が疑われます。
ヘマトクリット 一定の血液中に、どれくらいの割合で赤血球が含まれているかを調べる検査です。貧血があると低下し、多血症では増加します。
MCV
MCH
MCHC
赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリットの相互関係を比較し、貧血の種類を検査します。
血小板 血小板は主に止血の役割を持っているため、低下すると出血しやすくなったり、血が止まりにくくなったりします。
白血球 病原体を退治する働きがあり、免疫機能に役立っています。炎症等で上昇します。
血液像 白血球をさらに詳しく調べます。血液疾患等、様々な疾患の診断に役立ちます。
網状赤血球 骨髄で作られたばかりの若い赤血球で、骨髄の機能や貧血の種類を検査します。

尿一般・腎臓

尿蛋白 血液中の蛋白が尿中に排泄されたもので、腎機能を調べる検査です。体質や一時的なものもありますが、再検査等で病気の有無を調べる必要があります。
尿潜血 尿潜血が出ると、腎臓や尿路系の結石や、炎症が疑われます。ただし、健康な人でも激しい運動等で陽性になることがあります。*生理中は判定に影響することがあります。
尿pH 通常は中性〜弱酸性ですが、食事や激しい運動等で変動することがあります。
尿比重 腎臓の尿を濃縮する機能を調べる検査です。尿の中には、体内の老廃物、尿素、窒素、ナトリウム等が含まれているため、比重が変化します。
尿素窒素 尿素窒素は尿中に排泄されますが、腎臓の排泄機能が低下すると排泄がうまくできず、血液中に増加します。腎疾患や消化管出血等で値が上昇します。
クレアチニン 筋肉中で作られ、尿中に排泄されます。腎臓の働きが悪くなると値が上昇します。
eGFR 糸球体濾過量を推算したもので、腎臓の働きが悪くなると低下します。
尿沈渣 尿中の有形成分(赤血球や円柱等)や細菌の有無を顕微鏡で調べます。腎臓や尿路系の炎症や障害等を調べる検査です。

心電図

不整脈や高血圧症に伴う心臓の変化、虚血性心疾患等を調べる検査です。ただし、心臓に病気があっても心電図にあらわれないこともあります。心電図が正常でも自覚症状がある場合は、専門医にご相談ください。

胸部X線

肺がんをはじめ、肺結核や肺疾患等を調べる検査です。

喀痰細胞診

痰の中にがん細胞等が含まれていないかを顕微鏡で調べる検査です。

眼底

目の奥(眼底)の網膜には、細い血管が枝分かれしています。これを写真に撮り、動脈硬化や網膜の病気を調べます。

眼圧

眼球内圧を測定します。緑内障等、眼疾患を調べる検査です。

腹部超音波

肝臓・胆のう・腎臓・膵臓等の形態や病変の有無を調べます。

大腸便潜血

肉眼では見えない便中の血液反応を調べることにより消化管出血(胃や腸からの出血)の有無を検査します。 ※生理中は判定に影響することがあります。

胃部X線

胃がんをはじめ、胃や十二指腸のポリープ、潰瘍等を調べる検査です。ただし、この検査所見の有無にかかわらず、胃の痛み、吐き気、食欲不振等、胃の症状がある場合は、専門医にご相談下さい。

乳房

超音波 超音波により、乳房の病変を調べる検査です。人体に無害であり、痛みもありません。乳腺の発達した人や若年者に適しています。
マンモグラフィ X線撮影により、乳房の病変を調べる検査です。手で触れることのできないごく小さながんや微細な石灰化等を発見することができます。

子宮

内診 子宮や卵巣等を診察します。
細胞診 子宮頚部の細胞を採取し、がん細胞の有無や、そのがん細胞の種類を調べる検査です。ただし、不正出血等の症状がある場合は、専門医にご相談下さい。

動脈硬化

CAVI 心臓から足首までの動脈の硬さの程度を表す指標です。
ABI 動脈の詰まりの程度をあらわしています。

肝炎

B型 B型肝炎ウィルスの感染を調べる検査です。
C型 C型肝炎ウィルスの感染を調べる検査です。
A型 A型肝炎ウィルスの感染を調べる検査です。

骨粗鬆症

超音波により骨密度を測定する検査です。40歳を迎えるころから骨は次第に弱くなっていきます。特に女性は、閉経後に急速に骨量が減少し、7割が骨粗鬆症になるといわれています。骨を丈夫に保つために、カルシウムをたっぷりとり、定期的に運動を行いましょう。

肺機能検査

肺活量や肺の換気機能を検査し、呼吸器疾患等の有無を調べます。

前立腺

PSA
PSA-ACT
PAP
前立腺がんや前立腺肥大等の疾患で高値になります。

腫瘍マーカー

α-フェトプロテイン 肝臓がんや肝障害等で高値になります。
CEA 消化器、肺、卵巣等の腫瘍で高値になります。
SCC 子宮頚部、肺、食道、頭頚部、尿路・性器、皮膚等の各扁平上皮がんで高値になります。
CA19-9 膵臓がん、胆道がんをはじめとする各種消化器がん等で高値になります。
CA125 卵巣がん等で高値になります。

ピロリ菌

ピロリ菌の感染の有無を調べます。ピロリ菌に感染すると、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍になりやすく、胃粘膜の萎縮も進むため、将来の胃がんの発症リスクが高まると言われています。

ペプシノーゲン

胃粘膜から分泌される消化酵素で、胃粘膜の萎縮の広がりとその程度、胃液の分泌機能、胃粘膜の炎症の有無が分かります。この検査が陽性であれば、胃粘膜に萎縮があると考えられ、将来胃がんになりやすいかどうかをスクリーニングすることができます。

細菌

赤痢
サルモネラ
腸チフス
パラチフス
O-157
MRSA
感染症等の原因菌の有無を調べる検査です。

その他

CRP 炎症や組織の障害の有無を調べる検査です。
RF リウマチ因子の有無を調べる検査です。 ※RF検査のみではリウマチの診断はできません。
ASO 溶血性連鎖球菌に感染しているかを調べる検査です。
梅毒定性(RPR)
梅毒定性(TPHA)
梅毒定量(TPHA)
梅毒についての検査です。